東京メトロ日比谷線恵比寿駅2番口から徒歩約3分、JR山手線の線路手前を左に曲がり、恵比寿西一丁目交差点の角に昭和のスターが愛した老舗の洋食店があります。本日は「キッチン・ボン」をご紹介させていただきます。
洒落たお店の多い恵比寿の街ですが、「キッチン・ボン」は昭和の香りを強く残した洋食店ではないでしょうか。内装もそうですが、料理人としての厳しさを感じさせる店主の存在、そして洋食自体がハイカラで気軽にいただけるものではなかった時代を感じさせるプライスでもあります。しかし、「キッチン・ボン」の料理の品々をいただけば、その値段設定にも納得がいくのではないでしょうか。
「キッチン・ボン」のオープンは昭和30年にまで遡ります。昭和の大スターにも愛されてきた店であることからも、その実力が伺われます。美空ひばりさん、石原裕次郎さん、長嶋茂雄さんらが通ったといい、特に美空ひばりさんは「キッチン・ボン」のボルシチを好み、その味は日本一とも評されるに至っています。
初代シェフであった須田義夫さんは、大正5年に産まれ、13歳からキャリアを積んでいたといいます。須田さんは昭和16年に満州の大連にあった大和ホテルで旧帝政ロシア時代の皇帝お抱えであったという料理長からボルシチの作り方を学び、日本人の口に合うようにオリジナルの工夫を加えていって「キッチン・ボン」のボルシチが出来上がりました。その秘伝の味は二代目に受け継がれ今も味わうことができます。日本一と言われるボルシチにはこのような背景もあるのです。
「キッチン・ボン」での一番人気はボルシチですが、これ以外にも絶品の洋食ばかりです。ハヤシライス、ハンバーグステーキなどが特に人気でお薦めのメニューです。いずれも使われている食材の味がしっかと調和した一品に仕上がっています。これらのメニューにはパンかライスかを合わせていただくことが多いと思いますが、特製黒パンも人気が高い品ですので是非お試しください。
「キッチン・ボン」は夜だけでなく、ランチ営業も行っています。ランチでもボルシチは味わうことができますのでお昼時に恵比寿周辺に行かれる方は是非お試しください。ランチ営業は12時5分からという変わった時間というのも「キッチン・ボン」の特徴です。
時間といえば「キッチン・ボン」の店内には美空ひばりさんが贈ったという掛け時計があります。この時計が昭和のレトロな感じを今に伝えており、とても良いインテリアとなっていますので、この時計にも注目してみてください。