東京メトロ日比谷線広尾駅を出て外苑西通りに沿って南方へ徒歩約10分、恵比寿三丁目の交差点を南西方向にしばらく進むと右手のマンション1階入り口の横に「宝来湯」と書かれた看板をみることができます。本日は「宝来湯」をご紹介させていただきます。
昔は自宅に風呂がないことも多く、小脇に石鹸や着替えなどの風呂の道具を抱えて銭湯に通うということは良く見られる日常の風景でした。今よりも銭湯が身近だった時代、数多くの銭湯が街の至るところにありましたが、生活の洋式化、近代化が進むなかで自宅に風呂がある家庭が増えていき、昔ながらの銭湯は少なくなりました。一方で、様々な種類の温浴設備を備えたレジャー的な要素が強いスーパー銭湯が増えていったのも時代の流れだといえます。渋谷区も同様に昔ながらの銭湯は廃業によって数が少なくなり、今では10カ所程度になっています。「宝来湯」の営業開始は昭和60年に遡り、自宅に風呂が設置されていない人はもとより、たまには足を伸ばせる広い湯船に浸かって疲れを落としたい、銭湯が好きだという人などに支えられて今でも営業を行っている渋谷区の数少ない銭湯のひとつです。
昔ながらの銭湯というと1階の入口で男湯と女湯に分かれるというイメージではないでしょうか。「宝来湯」は珍しいことに地下1階にある銭湯です。階段口に掛かった暖簾をくぐり、地下へと続く階段を降りていきます。やや急な階段を降りていき、銭湯入口の前にある下駄箱に靴をしまい、銭湯の入口に入ると、フロント形式の受付があります。その奥のスペースには休憩室が設置され、床や壁の板張りの内装が暖かみを感じさせてくれます。休憩スペースには昔のタイプのマッサージチェアが設置されていますので懐かしいを思われる方も多いことでしょう。また、建物の地下1階と1階が銭湯になっているため、入口は地下1階ですが、天井が高く開放感を感じさせる造りになっています。
フロントで入浴料を支払った後に男湯、女湯に分かれて脱衣場に入っていきます。浴室には十分な広さの浴槽がふたつあり、残念ながら壁にペンキ絵などはありませんが一面に貼られたタイルが清潔感を与えてくれます。「宝来湯」では日曜日は利用料不要でサウナが利用できますのでサウナ好きの人には良いかもしれません。
月曜から金曜までの平日は午後4時から午後11時までの営業、日曜と祝日が午後4時から午後10時までの営業、土曜日が定休日です。比較的、夜遅くまでの営業をしていますので、会社などから帰ってきてから広い風呂にゆっくり浸かりたいという人でも十分に利用できます。こんな銭湯が近くにあったら、たまには行ってみたくなるのではないでしょうか。