東京メトロ日比谷線恵比寿駅2番口を出て、日本で最大級の銀行の間に挟まれた道を北西方向に向かって徒歩約1分、古くは文豪達も集ったという老舗の居酒屋があります。今日は「さいき」をご紹介させていただきます。
「さいき」は、創業したのが昭和23年で、終戦を迎えて間もない頃に恵比寿の街で営業が始まりました。現在のお店は創業の翌年に建てられた建物で昭和の味わいを色濃く残した店舗になっています。暖簾をくぐって店内に入ると、時代の流れを感じさせるカウンターとテーブルが並びます。ご年配の方には懐かしい感じがすることでしょう。そして、若い方には逆に新しく感じられるのかもしれません。
2階には畳の和室が二部屋、靴を脱ぎ、やや急な階段を登っていきます。かつては昭和の文豪と呼ばれる方々が集っていた居酒屋で、文壇についての熱い議論をここで交わしていたのではないかと思いを馳せながら食事とお酒をいただくのもひとつの楽しみではないでしょうか。
「さいき」は、昭和23年から続く老舗ですが、ここまで営業が続くのには当然理由があります。それは、やはり居酒屋としてのレベルの高さではないでしょうか。正直、居酒屋という呼び方が失礼なのではないかと思われるほどの丁寧な料理が並びます。昭和の文豪たちを始め多くの味にも煩い方々が足しげく通うのも納得です。
まず、お酒を頼むと一緒に提供されるお通しが一般の居酒屋とは違います。小皿が3種で日によって内容は違いますが、漬物、おひたしや刺身など、それぞれが一品として提供できるような品で出てきます。味もしっかりとしていて、適当な感じは一切ありません。これだけで2、3杯飲んでしまう方も多いのではないでしょうか。
海老しんじょうは、パリッとした外側を割った中身にはすりつぶした海老の旨味が広がっており「さいき」の看板メニューのひとつです。その日のお勧めメニューは黒板に書かれ、旬の食材を使った料理を楽しむことができます。
全体的に食事というよりは肴を出してくれるお店という感じです。
「さいき」は、大衆居酒屋にあるようなガヤガヤした感じはなく、来られる方も大人の雰囲気をまとった落ち着いた方が多い印象です。少人数で来られて酒と肴を楽しみながら会話を楽しむといったようなお店です。かつて人気のテレビドラマでも渋い主人公が訪れたお店として紹介されたこともあります。是非、恵比寿の大人の雰囲気をもつ老舗の居酒屋に足を運んでみては如何でしょうか。